巳年蚯蚓図像学事始

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

さて、今年は巳年。つまり蛇。
年賀状には様々な蛇のイラストが描かれています。

そんな中にはほとんどミミズに見えるものもあります。
まぁそれは私がミミズびいきだからという、どうでもよい、かつ個人的な原因によるものですが、ミミズグッズを集めている身としては悩ましい年なわけです。
「これはミミズだ」として注目するか、「いや、ヘビだ」として流すべきか。

今までもヘビグッズをミミズとみなしてちょっと集めていたりしました。
下の写真は数年前に国内デパートで買った両頭蛇ミミズのミニトング

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とはいえ、ヘビをミミズに空目するのは何も私に限ったことではなく、古今東西、ヘビとミミズのイメージが連続しているというのも事実です。
それは頭尾方向に細長く四肢がないという特徴的な形態によるものでしょうが、その生息場所や能力から、土・、再生・循環の象徴であるという共通点も持っています。

そしてヘビとミミズが能力を交換したり、神話・民話上の役割がヘビだったりミミズだったりと入れ替わっている例も、両者の関係の強さを示していると思われます。
【参考】
「蛇とミミズ」(まんが日本昔ばなし~データベース
「諸文化圏における龍と蛇の様相の研究―民族からみる朝鮮半島の蛇」(村上,2008

ミミズと同じく環形動物に属するゴカイの一種はその名もジャムシ(蛇虫)
たしかアフリカのどこかでは言語的にヘビとミミズを分けていないという話もどこかで読んだ気がしますが…詳細は不明

なんだか話がわからなくなってきましたが、要するに、そんなこんなで似たもの同士であるヘビとミミズの図像分類の自分基準を改めてつくろう、というわけです。

■完全にヘビ

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・舌を出している
・かま首をもたげている
・立体的なとぐろを巻いている
・頭部と胴体部のくびれが顕著
 >ただし頭部が顕著に大きく丸い場合はくびれがあってもセーフ=アブラミミズ
最後の基準以外は一つでも該当すればアウト=ヘビ

■ミミズっぽいけどヘビ

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・舌は出していないが、大きな顎をもつ
・大きなまだら模様がある
・雌雄がある(雌雄異体)
 >ミミズにも雄性先熟や雌性先熟や、なぜか一方の生殖器しか見られない場合もあるので(蒲生ら,2005)これはグレーな基準
この「ミミズっぽいヘビ」は苦し紛れにミミズだと言い聞かせることも

■みなしミミズ

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・目があってもかまわない
 >キャラクター化されたものの常として目が描かれるため
 >目があるミミズ(テングミズミミズ)も、目がないヘビ(ミミズヘビ)もいるため
・大きさは分類基準にはならない
 >10センチに満たないヘビ(ミミズヘビ)も1-2mに達するミミズ(メガスコリデス)もいる
・とぐろを巻いていても、平面上で巻いていればセーフ
 >ミミズは体を大きく持ち上げることはないが、体を巻くことはある
・まだら模様が小さく、点状であればセーフ
 >アブラミミズは点状に赤色などの油滴をもち模様に見える
 >縞模様もセーフ。シマミミズには縞がある

さて、あなたの年賀状には何匹のヘビとミミズがいたでしょうか。
以上、新年早々どうでもよいお話でした。