川本思心(准教授)
自己紹介
専門は科学技術コミュニケーション、科学技術社会論。博士課程まではミミズの再生研究をしていましたが、基礎研究と社会の関係や、専門家の役割、科学技術への「イメージ」への関心もち、現在の分野に転身。科学技術リテラシー、トキ放鳥や住宅用太陽光発電の導入、高齢者向け移動体をテーマに研究を行ってきました。また、地域と大学を繋げる科学コミュニケーション教育にも取り組んできました。
現在は、特に専門家間のコミュニケーションやデュアルユース問題に関心をもち、マクロな視点での量的分析だけではなく、個別の文脈が見えてくるフィールドでの実践も重視しています。
趣味はカヌー、ソ連・ロシアウォッチング、ミミズのふんさがし、最近レゴ。
- プロフィール
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川本 思心 KAWAMOTO Shishin 博士(理学)
北海道大学 大学院理学研究院 物理学部門 科学史・科学基礎論分野 准教授
(理学院 自然史科学専攻 科学コミュニケーション講座 科学技術コミュニケーション研究室)
兼任:CoSTEP“コーステップ”(高等教育推進機構 科学技術コミュニケーション教育研究部門)researchmap: http://researchmap.jp/ssn
科研費データベース: https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?qm=90593046経歴:
1976.1 北海道生まれ(苫小牧→札幌→旭川→札幌→東京→札幌→東京→札幌イマココ)
1999.3 北海道大学 理学部 生物科学科 卒業
2001.3 北海道大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 修士課程修了
2006.3 北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)修了(選科1期)
2007.3 北海道大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 博士課程修了。博士(理学)2000.4-2007.3 酪農学園大学 非常勤講師(「生物学実験」担当)
2007.4-2008.10 東京工業大学 統合研究院 研究員(科学技術振興機構 社会技術研究開発センター受託研究)
2008.11-2012.9 東京工業大学 大学院理工学研究科 機械制御システム専攻 特任助教
2011.4-2012.9 青山学院大学 社会情報学部 非常勤講師(「科学技術と社会」担当)
2012.10-2013.3 東京工業大学 環境エネルギー協創教育院 特任助教
2013.4-2014.3 北海道大学 高等教育推進機構 科学技術コミュニケーション教育研究部門 特任講師
2014.4より現職所属学会:
日本動物学会(1999-)
日本発生生物学会(2000-)
科学技術社会論学会(2008-)
日本心理学会(2008-)
日本工学教育協会(2008-)
社会言語科学会(2009-)
日本サイエンスコミュニケーション協会(2012-)
日本都市計画学会(2013-)
修士課程
石澤瑞季(M2)
研究テーマ
農業をフィールドにした科学コミュニケーション研究
自己紹介
食や健康に興味があり、学部では栄養学・食品科学を専攻しました。大学では、地域の子どもたち向けに、食について身近に知ってもらうためにサイエンスワークショップを開催していました。その縁でCoSTEP(2019年度選科B15期)を受講し、科学コミュニケーションの世界を知りました。栄養学や食品科学についての“違和感”や“もやもや”を、科学コミュニケーション的な観点から解決できるのではないかと考え、修士課程に入りました。
森沙耶(M2)
研究テーマ
科学館における来館者調査を通した展示評価の手法開発
科学館が博物館や美術館と大きく異なるところはほとんどの展示物に触れて体験することで学べるところです.このハンズ・オン展示と言われる手法は科学館を象徴する展示手法で,元々欧米の子ども向け施設であるチルドレンズミュージアムから始まったものですが,その展示効果から様々な展示施設においても取り入れられてきています.この研究では,ハンズ・オン展示がどのようにビジターに作用し展示効果が得られているのかを,ビジター同士(家族や友達など)のコミュニケーションという視点から探っていきます.
自己紹介
これまで科学館のスタッフとして科学教育に携わってきました。様々な展示に関わる中で、展示物とビジターとの関わり方について研究したいと思い、CoSTEPの研修科で2年間研究した後、科学コミュニケーション講座に入りました。学部では理学部の地球化学研究室で火山ガス中の水素同位体比の測定法開発を行っていました。科学館では子ども向けの科学教室や、地球科学に関する展示・特別展などを行っていたので、地球の不思議や面白さを伝える活動もライフワークとして続けていきたいと思っています。
坂本舞衣(M2)
研究テーマ
アートとサイエンスの境界領域
自然科学の美しさや科学技術の進歩、不確実性、科学と社会の関係性などを表現したアート・展覧会があります。それらを創り出す人々は、最新の科学技術を用いるアーティスト、科学技術と社会の関係性・問題を扱うアーティスト、自身の研究をアートして表現するサイエンティスト、あるいはサイエンティスト兼アーティスト等様々ですが、アートとサイエンスの境界領域で活動していると言えます。一見全く異なる分野のアートとサイエンスの共通性とは何なのか。アートとサイエンスの境界領域では、アーティストと科学者の間にどのような協働や創造、障壁があるのか。サイエンスがアートの文脈でどのように扱われてきたのか・いるのか。など、アートとサイエンスの境界領域で行われていることについて考えていきます。
自己紹介
学部4年間では、医療やアート、物理、社会学など文理問わず様々な学問に触れ、社会問題・課題をベースに学際的なアプローチについて学びました。その中で、”科学コミュニケーション”に興味を持ち、より深く学ぼうと科学コミュニケーション講座に入りました。科学技術をテーマとして扱う現代アートを鑑賞することが好きで、サイエンスとアートの境界領域やアートと科学コミュニケーションについて研究したいと思うようになりました。将来的に、立場や背景の異なる人々の間の橋渡し的な役割となれるように、より広い分野や様々な人々と関わっていきたいです。趣味はコアラをみることです。
荒木藍(M1)
研究テーマ
ジオパークにおける“職員”と“専門家”の交流
日本各地また世界各国には、自然をフィールドとしたジオ・エコ・ヒトの3つの繋がりを持つ「ジオパーク」が存在します。それぞれのジオパークには、他では見られない貴重な地質・地形・気候・生態・歴史・文化と多くの魅力が備わっています。保全することや観光・教育に活用することを目的としているのですが、上手く活動が浸透していないのも現状です。ジオパークとして活動が円滑に進むにはどうすれば良いのか、特に地域性を重視するジオパーク職員と、最先端の研究をする専門家・研究者の分野との双方向性の科学技術コミュニケーションに注目して、研究していきたいと考えています。
自己紹介
学部生のころは宇宙の生命の起源、進化の歴史を知り、地球また宇宙の未来を考える、アストロバイオロジーという学際的な分野に興味を持ち、自然科学全般を知識や実践経験を通して学んできました。同時に、体験型こども科学館で外部講師の補助スタッフをしていました。このような経験を通し、「アストロバイオロジーとヒトを繋ぐためにはどうすれば良いだろう」と考えるようになり、科学技術コミュニケーションに興味を持つきっかけになりました。趣味は登山やダイビングなどのアウトドアです。
Maria Adelina Facun(M1)
研究テーマ
Analysis of vaccine hesitancy in the Philippines
In the Philippines, vaccine hesitancy is prevalent, even during the COVID-19 global pandemic when everyone is advised to get the vaccine as soon as possible. There may be several reasons such as: fear of potential side effects; fear of a relatively new technology (mRNA vaccine); fear of a possibly rushed study; poor communication strategies by the government, by public health institutions, or by scientists. I would like to analyze and understand these specific factors affecting vaccine uptake among the Filipino population and how they have affected people’s decision-making. This will be important in preventing and mitigating detrimental effects of low vaccination turnouts in the public health.
自己紹介
I studied Molecular Biology and Biotechnology during my undergraduate years, and since then I have been involved in genomics research in the fields of both agriculture and public health in the Philippines. I enrolled in science communication because I thought that findings in science research should be well communicated and relayed to the public – the main financers of public research through taxes, and should also be the ultimate beneficiaries of said research. During my free time, I always want to go to the sea and to new places. In Japan, I also want to visit many shrines.
CoSTEP研修科
山内かな子(2年目)
研究テーマ
科学技術と社会の問題を考える授業計画
科学技術と社会が関わる問題は多くあります。自身が問題の当事者になることもあるでしょう。そのような社会で生きていくために、高校教育では何ができるでしょうか。本研究では、高校生が卒業後に、科学技術と社会の関わる問題解決に向け、自分自身で考え行動できるようになるために、どのような授業ができるかを考えていきます。そのために、高校の化学基礎・化学における授業の実践と指導計画の作成を行います。
山内かな子, 川本思心 2022:「科学技術と社会の問題を考える授業計画:エネルギー問題とサリドマイドの利用を考える」CoSTEP研修科年次報告書, 6(1), 1-8.
山内かな子, 川本思心 2021:「科学技術と社会の問題を考える授業計画」CoSTEP研修科年次報告書, 5(1), 1-6.
自己紹介
中高一貫校で理科教員をしています。昨年度、選科Bを受講しました。CoSTEPの学びを通し、「理科教育の在り方」を考えるようになり、科学の楽しさだけでなく、科学の負の側面にも向き合うことが必要だと思うようになりました。自身の専門である化学の授業を通して、学校現場における科学技術コミュニケーションを実践します。
岩野知子(1年目)
研究テーマ
消費生活相談の現場における科学技術コミュニケーション
消費者トラブルには、その時々の社会と個人のあり様が鮮明に反映されます。新しい技術やシステムとのミスマッチ、まともな科学といわゆるニセ科学との境界線、あふれる情報…。今現在起きている消費者トラブルの事例から、消費者と科学技術、相談の現場と科学技術コミュニケーションについて考察していきます。
自己紹介
消費生活相談員として職務に当たる中で、時として思いがけず、サイエンスコミュニケーターの役割を担っているのだろうか、と感じることがあります。しかし、科学技術の専門家ではない相談員がどのようにふるまうべきかは悩ましい。その悩ましさを少しでも解消したいとテーマを設定しました。CoSTEP(2019年度本科ライティング・編集実習)受講。趣味は、美術館と温泉を巡ること、猫との昼寝。
岩野和子, 川本思心 2022:「消費生活相談の現場から捉える科学技術コミュニケーション」CoSTEP研修科年次報告書, 6(4), 1-3.
成田吉希(1年目)
研究テーマ
ガダルカナル島における戦争遺産の現状
ガダルカナル島というと太平洋戦争でのターニングポイントとなった激戦地として有名であるが、現地では、戦いで使用された戦車・戦闘機や塹壕等が、過去の出来事を現在に伝える遺物や遺構として、今も各地に野晒しの状態で残されている。こうした戦争遺物や遺構の一部は観光資源となり、訪れる人々から得るいわば青空博物館の入館料は、現地住民にとって貴重な現金収入になっている。一方で、ソロモン政府として観光開発は、経済振興上の重要分野としているものの、国内の戦争遺物や遺構を全体的に把握し、どのように管理・活用するべきかを検討する動きはない。研究では、現地に散在する戦争遺物・遺構及び慰霊碑の戦史上の背景や現状を整理することで、そうした検討の一部を担えるような資料作りを目指したい。
自己紹介
太平洋の島嶼国中心に途上国支援に携わっています。昔読んだ東浩紀さんの「弱いつながり 検索ワードを探す旅」で、なんでもネットで調べることができる時代、違う環境に身を置いて偶然の出会いから“検索ワード“を得ることが大事といった趣旨の話に妙に腑に落ちた覚えがあります。一方で、面白い“検索ワード“を見つけることは得意なのですが、正しい情報に整えて適切に伝えることの難しさを感じており、CoSTEP研修科での科学技術コミュニケーションからの学びから、伝えることに関するコツや技術を得ることができればと考えています。
成田吉希, 川本思心 2022:「ルポ『ソロモン諸島:戦跡によりそう人々』執筆にむけて」CoSTEP研修科年次報告書, 6(2), 1-7.
OB/OG
博士課程
武田増満(~2016)
映像を用いた科学史研究の検討 ※前任の杉山先生からの引継ぎ
修士課程
片岡良美(2019-2021)
学際研究における図像の作成から明らかにする異分野コミュニケーション
朴洙鎭(パク・スジン)(2020)
航空宇宙技術におけるメディア・コンテンツの科学技術コミュニケーション的分析
小坂有史(2016)
サイエンスカフェ活動を行う上での主催者組織内におけるコミュニケーションのあり方~札幌と広島の事例調査から〜
小坂有史, 川本思心 2017: 「サイエンスカフェを担う人々が目指す方向性は同じなのか? : 広島大学サイエンスカフェを対象としたインタビュー調査から」CoSTEP Report, 3, 1-41.
学士課程 (HUSTEP)
Pamela Renee C. Reyes(2018)
Political science communication in marine conservation: comparative study between Japan and Philippine
研修科
成田真由美(2019-2021)
アイヌ遺骨問題に関する関係者インタビュー調査
成田真由美, 川本思心 2022:「アイヌ遺骨問題に関する関係者インタビュー(3)インタビューイー竹内渉氏」CoSTEP Report, 5(3), 1-39.
成田真由美, 川本思心 2022:「アイヌ遺骨問題に関する関係者インタビュー(2)インタビューイー木村二三夫氏」CoSTEP Report, 5(2), 1-43.
成田真由美, 川本思心 2022:「アイヌ遺骨問題に関する関係者インタビュー(1)インタビューイー常本輝樹氏」CoSTEP Report, 5(1), 1-32.
成田真由美, 川本思心 2021:「アイヌ遺骨問題に関する関係者インタビュー」CoSTEP研修科年次報告書, 5(2), 1-18.
成田真由美, 川本思心 2020:「アイヌ遺骨問題に関する関係者インタビュー」CoSTEP研修科年次報告書, 4(1), 1-11.
澤田莉紗(2020)
多様な科学技術コミュニケーションコミュニティの調査
天野彩(2018-2020)
「水素水」ブームはなぜ起きたのか、どう向き合うべきか
天野麻穂(2016-2018)
文理融合の障壁となる諸要因の探索-研究者の意識調査から―
天野麻穂, 川本思心 2018: 「文理融合の障壁となる諸要因の探索 : 研究者へのインタビュー調査とゲーム式調査法の開発」CoSTEP研修科年次報告書, 2(1), 1-5.
天野麻穂, 川本思心 2017:「文理融合の障壁となる諸要因の探索」CoSTEP研修科年次報告書, 1(1), 1-4.
千脇美香(2017-2018)
農業の現場におけるイノベーションの普及
澤田真由美(2017-2018)
公設試験研究機関における科学技術コミュニケーション
澤田真由美, 川本思心 2018: 「公設試験研究機関におけるSNSの活用事例 : 道総研食品加工研究センターにおけるFacebook導入事例」CoSTEP研修科年次報告書, 2(6), 1-9.
山崎幸男(2017)
テキストマイニングを通じた現代科学の諸相–“役に立つ”概念をめぐる若干の考察
鈴木克治(2016-2017)
中学校の理科教育におけるトランスサイエンス導入の方法と基準づくり
鈴木克治, 川本思心 2018: 「中学校の理科教育におけるトランスサイエンスを題材とした授業例の抽出」CoSTEP研修科年次報告書, 2(5), 1-4.
鈴木克治, 川本思心 2017: 「中学校の理科教育におけるトランスサイエンス導入の方法と基準づくり」CoSTEP研修科年次報告書, 1(2), 1-9.
岡崎朱美(2015-2017)
環境面での普及啓発事業の評価指標について
岡崎朱美, 川本思心 2017: 「環境配慮行動普及啓発事業の評価のありかたを考える : 自治体と NPO 等普及啓発実践者の研究交流集会を通して」CoSTEP研修科年次報告書, 2(4), 1-7.
岡崎朱美, 川本思心 2017: 「環境配慮行動を普及啓発する事業の評価手法構築に向けて」CoSTEP研修科年次報告書, 1(4), 1-8.
杉田恵子(2015-2016)
医療分野におけるコミュニケーターの役割とは
杉田恵子, 川本思心 2017: 「トランスサイエンス問題における科学技術コミュニケーターの役割 : 高レベル放射性廃棄物の処分地問題を題材に」CoSTEP研修科年次報告書, 1(5), 1-14
中村佳代(2015-2016)
地球の気候システムを題材とした科学技術コミュニケーション活動
中村佳代, 川本思心 2017: 「雪と水の循環をテーマにした科学技術演劇の実践」CoSTEP研修科年次報告書, 1(3), 1-3.
村山一将(2016)
高校における科学技術コミュニケーション教育プログラムの開発