Science Communication in the World (except Japan)

  • 2014年3月2日
Science Communication in the World: Practices, Theories and Trends Science Communication in the World: Practices, Theories and Trends
(2012/04/05)
Bernard Schiele、 他

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自分の論文を検索していたら、この本が引用してくれていることを発見してホイホイ買ってみた。

最終章はPUSの大御所Martin Bauerが書いており、別の章にはMassimiano Bucchi、そしてインドのKumarと、以前広島で開催された科学技術リテラシーの国際シンポジウムの面々が揃っています。

さてその内容ですが、part1 “National overviews”では各国の事例が紹介されています。
その国は豪・加・中国・デンマーク・仏・独・印・南アフリカ・韓・スペイン・・・あれ?

ということで日本がいない。

米国勢(例えばこの手の話の常連Jon Miller)もいないのですが、雑駁な印象では上述のような英連邦・欧州系の面々とは方向性がやや違ってきていることも原因なように思えます。
PUSからScience Communicationへ移行した欧州系は、その所謂トップダウン/ボトムアップといった上下の方向性に変化はあれど、政策や市民参加が含まれています。一方米国の”Literacy”はやはり義務教育的な観点で語られる事が比較的多い。

例えば2011年にもMillerは”To improve science literacy, researchers should run for school board“を書いています(Nature Medicine 17, 21,2011)。

もちろんこれはごく一例にすぎず、Millerは測定系の最右翼なのでこれに代表性があるわけではありません。
とはいえ、科学技術において圧倒的な力をもつ米国の事例が、それに対応するほどこの本で割かれていない、という意味をやはり考えずにはいられません。

同様にアジア勢では中国や韓国が入っているのに、日本が無いということも。

ちなみに私の論文の引用は最終章 “Science Culture and Its Indicators”にありましたが、「日本でも調査やってる」くらいの扱いでした…