シミュレーション&ゲーミング学会に初参加

5月31日に青山学院大学(渋谷区)で開催されたシミュレーション&ゲーミング学会(JASAG)春期全国大会に参加してきました。「バイオリスクマネジメント教育におけるレゴ®シリアスプレイ®の活用可能性」と題して筆頭著者として発表するとともに、共著で「多様性と共生のコンピテンシーを育むワークの開発」も発表するためです。

ここ数年、レゴ®シリアスプレイ®メソッドと教材を活用したワークショップ(LSP)を実践してきました。その対象と内容は、交流を目的とした単発のワークショップ、学部授業におけるPBL、大学院授業におけるディスカッション等々。これらとは別に、様々な方と連携して実施しているプロジェクトが2件あります。1件は、これまでのデュアルユース研究の延長線上で国立感染症研究所等の皆さんと取り組んでいる、病原体研究のバイオリスクマネジメント教育への応用。もう1件は、兼務しているリカレント教育の枠組みで実施している、共生社会をささえる人材育成(社会人向け)への応用です。

JASAGを知ったきっかけは、この「共生をささえる人材育成」のプロジェクトです。プロジェクトでは、NTT社会情報研究所Well-being研究プロジェクトの皆さんと一緒に、共生・ウェルビーイングを実現するまちづくりのための教育・ワークショップの設計とその展開に取り組んでいます。そのワークショップには、LSPではありませんが、「手で考える」コンストラクショニズムの要素を取り入れ、レゴブロックを使うという共通点もあります。このNTTプロジェクトによって上記バイオリスクマネジメント教育でのワークショップの重点も整理されてきました。相互参照による相乗効果です。

これまで自分でLSPを企画したり、ほかの人の企画にファシリテーターとしてサポートに入ったりしていましたが、実践だけではなく「記録」「研究」のモードにも移行しなければと考え始めました。先行研究を集めて読み漁りつつ、自分もどこかで発表しなければと思っていたところ、NTTプロジェクトをJASAGで発表することになり、あわせてバイオリスクマネジメント教育についても思い切って参加することにしました。

門の傍らに立つジョン・ウェスレーの像
右は共著で発表した「多様性と共生のコンピテンシーを育むワークの開発」のポスター。

発表形式はポスターでした。川本は筆頭著者ではここ10年以上口頭発表ばかりだったので、久しぶりのポスター作成に若干の感覚の鈍りを覚えつつなんとか当日を迎えました。

  • 川本思心, 黒崎陽平, 秋橋仁美, 小橋川直美, 猿渡英代子, 四ノ宮成祥, 伊木繁雄
    「バイオリスクマネジメント教育におけるレゴ®シリアスプレイ®の活用可能性:iGEM参加学生および感染症研究施設所属者との試行」
  • 横山実紀, 種村剛, 石井方邦, 川本思心
    「多様性と共生のコンピテンシーを育むワークの開発:「みんなでつくってみよう!共生のまちづくり」の試作と教育プログラムとしての検討」

ありがたいことに、発表時間中ほぼ途切れることなく人に来ていただいて、多くのコメントいただけました。が、1時間喋り通しでかなり疲れました・・・やはりブランクが・・・

ポスター発表の後は休みなく総会に真面目に参加(別学会で理事をやっているので運営に関心もあり)。そしてさらにすぐ後に、「The Beer Game」というサプライチェーンのゲームを体験するワークショップがありました。ナフサ問題が世間を騒がせている昨今、非常にタイムリーな企画でしたが、発表の疲れで集中力ゼロのため見学にとどめました。ビールゲームとは、ビールの生産・発注・流通のサプライチェーンをチームで模擬するゲームです。参加者は、単に個人の判断が原因ではなく、システムの特性によって必然的におこりうる需要変動の増幅「ブルウィップ効果」を体験できます。そしてその上でどうアクションしたらよいかを考えることができる、という組み立てのゲームです。

ポスター発表でのディスカッションでも示唆を得ましたが、LSPはいわゆるルールやゴール(勝敗)が決められたものではありません。その意味で、LSPは狭義の「ゲーム」ではなく、まさに「プレイ」に重点があるものです。ポスター発表した内容もリスク観や仕事の価値を共有するもので、そこに興味を持ってもらえました。一方で、限られた時間でのワークにおいて、何か枠組み、システム、法則といった一般的におこる事柄と、それに基づく次のアクションを明確に示さずにいると、参加者は何を学んだのかを理解し辛くなるというのも経験上確かです。良くも悪くもかなり開かれているのがLSPなので、それらの点をLSPに組み込むことでより有効なワークを開発できるのではないか、と大変参考になりました。

蔵書放出コーナー。興味深い本がいくつもありましたが、さすがに荷物になるので1冊にしておきました。OR関連の本が多く、シミュレーション&ゲーミング研究のルーツのひとつはORなのかもしれません。

今後LSPをどうやって、どの程度研究にしていくべきか。ただでさえ手を広げすぎているので、良く考えなければなりません。一方で、ワークが標準化されており先行研究も多いため、研究としての実現可能性は低くはありません。そして多くのテーマに展開可能です。研究テーマにしたい学生さんが来てくれれば・・・と考えています。

 

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