「両義性」の魅力と罠

科学技術に留まらず、学術は私たちの望みを実現する手段の一つです。多くの人命を救い、生活を豊かにし、何より世界を理解することを可能にする多くの知を蓄積してきました。

一方で、意図せざる用途によって人や社会に甚大な被害を与える場合もあります。また、私たちの科学技術の研究・利用の「意図」の中には、安全保障(security)も必然的に含まれていることは当然の事実です。このような科学技術の実用化は誰の意図によって行われるべきものなのでしょうか、何に貢献すべきものなのでしょうか。大学なのか、アカデミアなのか、国なのか、それとも… そして、公開と共有を規範とする科学は、占有と秘匿を重視する安全保障研究とどのような関係にあるのでしょうか。

科学技術コミュニケーションの最困難事例であるデュアルユース(用途両義性および軍民両用性)問題は、その問いを私たちに投げかけています。本研究室では、現代の事例だけではなく歴史的事例について、また広く研究の負の側面に着目しています。さらに、不確実性の高い将来や過去の問題についてどのようにコミュニケーションをするかという手法についても研究しています。

研究事例

  • 現代日本の大学研究におけるデュアルユース政策と言説の分析
  • 1920~40年代における伝書鳩を用いた遺伝学研究と軍事研究

構想中

  • 太平洋戦争末期に構築された北海道各地の陣地に関する調査
  • アイヌ遺骨問題と研究者・当事者