ITをなぜ使うか、どう使うか

第2回教育ITソリューションEXPOに行きました。
私は初等理科教育にも少し足を突っ込んでいます。
現在のトピックの一つは電子黒板の導入と活用なのですが、なかなかうまくいっていないのが実情のようです。

そこで実際メーカーはどのようなモノを、どのように使おうと考えているのかを見てみようとビッグサイトに行きました。

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国際ブックフェアも開催していました。

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が、午前中は淵野辺に行っていて時間もないので本来の目的地へ

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とある企業が電子黒板とiPadを連携させたシステムについてデモを行っていました。
教師が電子黒板上の教科書に線を引くと、それが各児童・生徒が持っているipadにも反映されるといったものです。

他にもいくつか機能がありましたが、印象としては教員、あるいは児童一人の情報を全体に共有するためのシステムという思想があるように思えました。

電子黒板は映像や画像も表示でき、上記のような情報共有もできる利点は大きいと思います。
また、教員が必要とする業務管理や児童・生徒の情報も一元化して教員用のipadなどのポータブルデバイスに集約させるのは便利でしょう。

しかし、情報処理が可能なデバイスを使う一番の利点は、児童・生徒がもつ多数の意見をどう可視化し、共有・保存するかという点にあるのではないか、と素人考え。
議論をする力の育成は本質的に重要です。
全員が発表するのは難しい、発表者は偏りがち、議論が賛成反対に単純化されがち、全体の意見を見通した上でさらに議論を重ねることが難しい、といった問題をサポートするためには、上記のような双方向の情報集約システムが必要ではないでしょうか。

そうはいっても、現状はそれより手前に、導入の問題があるようです。
教育工学がご専門のN先生に伺ったところ、導入のインセンティブがそれほど大きくないとのことです。
電子黒板の導入がある程度進んでいる海外では、これまでは複数の教師がじかに児童・生徒を指導する形態をとり、あまり黒板を活用した全体向けの授業は中心ではありませんでした。
そのため、電子黒板を導入することで新しい形の授業が可能になることが普及の促進要因になったそうです。

一方、日本はもともと黒板を活用した授業が中心で、教員の技能も充実していました。
そのためあえて電子黒板を導入するだけの大きな利点はそれほどないとのことです。

電子黒板が便利なことは確かなので、今後普及は進んでいくでしょう。
しかし、学校教育の形を大きく変える力があるかどうかは、電子黒板をただの情報配信デバイスと考えるか、集団の知を生かす機能を持つものと考えるかによって違ってくるのではないでしょうか。