JST-RISTEXのサービス科学に関する第2回公開フォーラム「サービス科学の実践―イノベーション事例を通して」に研究室メンバー6名で参加してきました。
そうです、今年度の後期からいよいよ我S研にも学生がやってきたのです。
これまでは
ボス、私、以上。
のラボ生活が3年続いていましたが、週2の研究員が加わって1年半、さらに週2のRAが加わって半年。
そして秋から博士課程の学生が入りました。
さらに副査担当の博士課程の方もゼミに参加することになったので一気ににぎやかになりました。
ただし博士学生の方々のみならず研究員の方々も皆さん社会人なのでアダルトな雰囲気です。
さておき、実践としての科学技術コミュニケーションは、科学技術とその社会技術を社会の中で生み出すという点で、サービス科学と親近性が高いと思われます。ということで参加となりました。
会場は品川の東京コンファレンスセンター。
そもそも「サービス科学」とは何ぞや?
「サービス科学」とは、従来埋もれていた大量の顧客データを分析し、モノ単体ではなくサービスにより付加価値を高めて利益を得るための科学です(私の理解では)。
(RISTEXのホームページにもきちんと書かれていない。リテラシーの時もそうだったが・・・)
「サービス科学」において良く使われるのが「価値共創」という言葉。
製品・サービスの供給側だけではなく、需要側も参加して価値をつくるということらしく、「生活者起点」という言葉も使われます。
しかしそもそもサービスというのは、個々の需要に適切に対応することなので、需要側の情報を用いるのはある意味当然なことです。ではサービス科学は何が違うのか?
サービス科学とは、顧客情報を大量に統計的に扱うことで、従来ミクロな事例をもとにミクロに対応するというサービス生産だったのを、マクロを分析することで個別サービス間・サービス‐顧客間の共起を発見し、ミクロにも対応できるサービス生産を可能にするという点に最大の特徴があるのかもしれません(私の乏しい理解では)。
あるいは、数撃ちゃ当たる的サービス生産から最適化されたサービス生産へ。
この分析には必然的に情報工学が必要になります。
しかし若干気になるのは需要側は良いサービスを得ることで還元を受けているものの、情報は吸い取られているだけで別に主体的に「価値共創」に参加しているわけでもなんでもない。
単なるIBMのバズワードなのではないか、という気もしないでもない(私のうがった見方では)。
とある登壇者は、事例として高齢者による高齢者向けサービスなどを挙げていました。
確かに重要だと思いましたが、会場からの「若者の雇用とどう結びつけるのか」という質問に対し、「スキルを身につけて海外に行けばよい」などという随分雑駁な回答をしており思わず絶句。
サービス科学と関係なくない?
現在進められている4件のプロジェクトの報告については、「顧客経験と設計生産活動の解明による顧客参加型のサービス構成支援法 ~観光サービスにおけるツアー設計プロセスの高度化を例として~ 」(原辰徳,東大)が具体的な手法に基づいて研究を進めており、興味を持ちました。
内容は大雑把にいって下記の通り。
・外国人旅行者のデータを数量化3類とクラスタ分析で分析し、行動傾向別に4クラスタに分類
・GPSロガーによる地域レベルでの行動分析
・旅行者を対象にアンケート分析
・これらを用いてロングテールを含めて分析し、企画を作成し、マス層にフィードバック(提案)
現在進めている高齢者向けアシスト自転車を用いたお出かけ型介護予防プログラム作成研究にもとても参考になりそうです。
閑話休題。
今回のフォーラムを聞いてサービス科学について一つの疑問が湧いてきました。
従来営利企業が行ってきたようなサービスとある程度同じ延長線上にあるサービスの研究であれば、それは企業がやればよいのでは?
事実、サービス科学はIBMが作り出した概念であり、その強力な資本・ネットワーク・技術でITソリューションという名のサービスを作り出しています。
もちろん、実際の事例を用いてサービス科学の手法自体を研究するというのもわかります。
しかし、企業が踏み込みにくい採算があわないような領域こそ、新たな価値を作り出すと同時に採算をあげられるようにすべくサービス科学を用いて研究るべき領域であり、その担い手は公共性の高い大学・研究機関であるべきなのではないでしょうか。
そういった意味で、行政・NPOなどのサービスが大学や研究機関のサービス科学研究とマッチするように思えます(私の明後日な見方では。)
ということで、来週もサービスサービスゥ!
(これが言いたかっただけか)