ちょっと帰省したついでに、北大正門すぐそばの古書店南陽堂へ。
南陽堂の二階は昆虫を中心に生物系の古書が豊富で、北大にいたころよく通っていました。
今でも帰る度ちょくちょく寄っています。
そこで北大の動物分類学者にて随筆家内田亨の随筆『猫の裁判』と、北方出版社の『動物の趨性』を購入。
写真は南陽堂すぐそばのsapporo cafeにて。昔はDo夢、ツクモがあった場所ですね。
お安いお値段で、Wi-Fi、iPad貸出もあり。上の階はイベントスペースになっています。
閑話休題。
■猫の裁判
『猫の裁判』は「〇×△□様へ 著者」というサイン入り。
そして「雨とミミズ」という一編もあり即決。
内田亨先生は北大の系統分類学講座の初代教授なので、系統分類学講座IIIに所属していた私もはるか遠い子孫弟子ということになるでしょうか(オソレオオイ)。
内田先生は今に続く北大の無脊椎動物の系統分類研究の礎を築いた方ですが、随筆家でもあります。
『猫の裁判』(大日本雄弁会講談社、1956)でも北海道・札幌の風景に絡めたいろいろな動物に関するエッセイが載っています。
ニワトリを襲う猫を捕まえた内田先生による大岡裁きを書いた表題の「猫の裁判」も面白いですが、ミミズウォッチャーとしては「雨とミミズ」の一編に注目。
雨の日になぜミミズがでてくるのか、北大の校庭や円山公園の風景から始まり、ミミズが出てくる原因を明らかにするための様々な実験について書かれています。
興味深いのは川端康成の「化粧と口笛」の中に「ミミズが桐の木に上っている」という会話がある、と指摘していることです。こちらもそのうち読んでみたいです。
【参考】
生物学者列伝 第2回 動物系統分類学研究者・内田亨先生
ひたすらに生き物の美しさと向き合って(北海道大学理学部生物科学科)
■北方出版社
もう一冊の『動物の趨性』(1949)は「理学モノグラフ」というシリーズの4巻目。
目に付いたのは北方出版社という会社。今回初めて知ったのですが、この会社は札幌の出版社で昭和22年から「理学モノグラフ」を刊行しています。
場所は北4西2とあるので、今の東急百貨店のあたりでしょうか。
ラインナップを見ると、これまた北大の物理学者堀健夫による『壺中の天地』もあります。
ほーっ面白い、といろいろ調べていたらS山先生によるそのものずばりの本がでていました…
北の科学者群像―「理学モノグラフ」1947‐1950 (2005/06) 杉山 滋郎 |
これは読まねば。