科学遺産:コペンハーゲンのらせん塔

4S(Society for Social Studies of Science)とEASST(European Association for the Study of Science and Technology)の合同大会に参加するため、コペンハーゲンにやってきました。

初日の17日は午後からのスタートなので、一人で市内観光に繰り出しました。
目指すはRundetaarn(円塔)。

市の中心にある地下鉄Kongens Nytorv駅で降り、一旦南西へ向かってクリスチャンスボー城をちらっと見てから東へ向かってアマートゥ広場へ。ここを中心に南北に歩行者天国が広がっていますが、北へ向かうとRundetaarnがあります(地図)。

10時ちょっと前なのでお店は開店前、人通りもあまりありません。
ショッピング街の奥に17世紀の塔。

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34.8mの頂上に緑色の観測ドームが見えます。

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この塔は1642年に完成した学術施設で、天文観測台、学生用教会、図書館が併設されています。
壁面には完成年の「1642」の金文字と、建造を命じたデンマーク王クリスチャン4世のものと思われるシンボルが。

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茶色の重厚な外観とうってかわって、白い滑らかな洞窟のような趣きに思わず「おっ」と声がでました。

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奥に見えるのがチケット売り場。大人一枚25クローネ。
日本語の簡単なリーフレットももらえます。以下の情報はそのリーフレットから。

何と言ってもRundetaarnの特徴は、その内部の螺旋スロープでしょう。
窓から入る光が美しい。

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スロープは7.5周あり、距離としては209m。緩やかなので登るのは大変ではありません。

スロープの途中に当時のトイレがありました。下水管はどうなっているのでしょうか。

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この横には、お土産売り場や展示スペースになっている元図書館スペースがあります。
デンマーク最古の大学図書館で約1万冊を収蔵していたとか。

さらに登ると、図書室の屋根裏部分に入る入口がありました。
ここは柱を直にみることができるほか、Rundetaarnの模型や関係する資料などが展示されています。

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この塔はロシアのピョートル大帝が馬で駆け上ったことで有名。奥にその絵があります。

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このエピソードは昔聞いたことがあったのですが、てっきりその塔は階段で登る構造だと思い込んでいました。
このスロープであれば、それほど難しいことではないわけで、ピョートル大帝は馬で石段を駆け上った曲垣平九郎レベルではなかったわけです。

立ち入りできない屋根裏の大半のスペースはガラス越しに見ることができます。
そこに天体観測をしている様子を描いたレリーフがぽつんと置かれていました。

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頂上に近くなるとスロープが終わり、階段に変わります。

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ここで振り返ると、黄道十二宮図とその下に謎の半球状の構造がありました。

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目盛のようなものが3つ並んでおり、上部の黄道十二宮図は機械仕掛けで動くのでは?などと思ったのですが不明。
なんにせよ非常に興味深い。

階段を半回転ほどすると、さらに狭いらせん階段が現れました。
青い壁面で狭い道は暗く、いよいよ天界に近づいたことを演出しています。

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頂上から見るコペンハーゲンの風景。この方向だけではなく、町中に尖塔がありました。

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風景ばかり見ているわけにはいきません。主役は天文台です。
今でも冬には一般向けの観望会が行われているそうですが、この日は残念ながら中には入れませんでした。

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この天文台は1861年までコペンハーゲン大学が使っており、その後も1929年まで観測に用いられていたそうです。
デンマークと天文、といえばティコ・ブラーエ。彼は1601年に亡くなったのでRundetaarnで観測したことはないわけですが、彼の弟子・孫弟子がここで活躍したのでは…などと想像。

私は天文分野には疎いのですが、Rundetaarnは好きな人なら尚さら行くべき、デンマークの科学遺産とも言えるスポットでした。