4S with EASST ― 初日

11月17日、科学技術社会論に関する国際学会4Sの年次大会初日。

会場はコペンハーゲンのすぐ隣町、フレデリクスベルグにあるコペンハーゲンビジネススクール(CBS)。
写真はすぐそばにある、宿泊したホテルから撮影したCBS。

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初日は午後からの開始だったので、午前中はコペンハーゲンの街なかを見物し、受け付けの始まる13時にCBSにやってきました。

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CBSはいくつかの建物を持っており、メイン会場は写真のSolbjerg plads 3

学会のオープニングトークは”The desing mailboat”と題されたセッション。
会場にはいると檀上に3つの机が離しておかれており、その机にはポットやら電気スタンドなやらの小道具が置かれています。

小芝居でも始まるのでは、などと思っていたら、本当にそうなりました。

一番に登場した方は、登場するやいなや机の蝋燭に火を灯し、紅茶をいれ、そして首におしゃれな布を巻いてから手紙を朗読。
このセッション、異なる地に住む3名が、それぞれの地が生み出した様々な「デザイン」とその未来に関する手紙を朗読して瓶につめて流すという体で進められました。

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一番初めに手紙を流したIT University of Copenhagen の Laura Watts
取り上げた事例はスカンジナビアンデザインからスコットランドにおける新エネルギーのランドスケープまで。

手紙を読み終え、瓶につめるとスクリーン上を瓶が流れていく…

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手紙を受けとるエスノグラフィーの第一人者、Lancaster UniversityのLucy Suchman

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フィールドとして研究していたシリコンバレーにおけるIT機器デザインについてについて一人語り。

スウェーデンはMalmö UniversityのPelle Ehn

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ユーザーを含む多様な人々がデザインに関与するParticipatory designの意義と歴史について。

セッションが終わると会場からは「ヒュー!」とか声があがり、オサレ過ぎて正直ついていけんかった…

とは言え、ただ講演をするよりは手紙を朗読するというスタイルにする方が印象的ですし、話す言葉も自然になりそうです。なかなか難しそうですが、1つのフォーマットとして面白いと思いました。
また、「デザイン」の一例として情報技術も挙げられていましたが、ボトルメールを使ったのは、現代の情報技術と異なる、誰にいつ届くかわからないボトルメールの機能ンに対する気付きをうながすといった意図も込められていたのかもしれません。

最後にちょっと真面目に考えると、このオープニングセッションは、今回の4S(正式にはwith European Association for the Study of Science and Technology)、ひいてはSTS研究が、ナラティブ・エスノグラフィー優勢であることを顕著に示しているように思えまました。

私は量的分析手法に重きを置いているので、若干違和感を覚えましたが、異なる研究テーマと手法を吸収するのが学会というもの。
2日目以降どのような発表が聞けるのか、楽しみです。