ミミズのあゆみ

4月1日から北海道大学大学院理学研究院で准教授を務めることになりました。
CoSTEPは兼任となり、これまで通り(これまで以上に?)にCoSTEPのプログラムに関わっていきます。
これまでの諸先生方の御指導、学生の皆様の御支援に感謝申し上げます。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。

研究室のサイトはこちら↓
理学院自然史科学専攻科学コミュニケーション講座科学技術コミュニケーション研究室

さて、いよいよ研究者としてよって立つわけですが、
自分にとって研究者、あるいは科学と専門家というのは、巨人の肩云々というイメージではなく、数多の微小な土壌生物が土を作り、やがて島をもつくるイメージだな、とふと思いました。

学生のころ農学部図書館で見つけた『みみず』の巻頭文に影響を受けたのかもしれません。

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蚯蚓禮讃

自ら進んで釣魚の餌たるを辞せざるも
虚名を干支に列ぬるの累を避く
「鈍くしておかしげなる」との世評に甘んじ
悠々自適 泥土を食ひ黄泉を飲み
敢て利欲を地表に求めず
汲々相励みて荒野を拓き
矻々相勉めて沃土を作る

其躯は蓋し研学の材たるべく
其屍は猶は霊薬の素たるべし
然れば蔡邕の知遇を得て勸学の篇に入り
透谷の詩眼に映じて跟影を紙帛に止む

祖先世に現はれて既に幾億歳
巨像の蹄を逃れ氷河の流れを避く
時に地殻の激震に厄せられ
血縁離散の悲しみに遇ふも
慈雨の降下に恵まれて繁栄の喜びを受く

年を送り歳を迎へて眷族益々蕃く
争はず犯さず 倶に天分を楽しみ共に苦楽を味ふ
是れ蚯蚓の偉とする所なり
世の懶婪憤怒の人
亦以て鑑とするに足らん乎

畑井新喜司『みみず』(1931年)
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ちょっと大げさですが、ミミズのあゆみでやっていきたいと思います。

20140403-1