今年の前期大学院講義「科学技術史特論」の課題図書は『二つの文化と科学革命』です。ちょうど新装版がでたということもあり、院生さんのテーマとしても、今日的なテーマを考える古典としてもはずせない本でもある、ということで選定をしました。
- 『二つの文化と科学革命』C.P.スノー/松井巻之助 訳(みすず書房2021)
- “The Two Cultures” C.P.Snow (Cambridge Univ. Press 1998)
どちらもステファン・コリーニによる解説(Introduction)が入っているバージョンです。
輪読担当5名+オブザーバー1名と私の7名で進めていきます。本書は時代背景や英国の文化的背景、そして何より科学と社会の関係の現在との違いを踏まえないといけません。そこでまず私から昨年度の『専門知を再考する』を使いながら、科学論の進展の話をざっくりとしました。その後一人2回担当して進めていきます。
昨年度からキーワード解説集を全員でつくりそれを最終アウトプットする方式にしました。自分の担当を読んだらおしまいではなく、自分の章に出てきたキーワードの理解を深め、解説を改定するためには他の章についても理解しなければいけません。最後にまとまったものができるのも遣り甲斐があります。昨年度ははじめての試みということでpdfにしてHUSCAPに掲載するところまではいきませんでしたが、今年は目指したいですね。
キーワード集をHUSCAPで公開しました。
科学技術史特論著・川本思心編 2021: 「『二つの文化と科学革命』キーワード解説集」(2021年8月10日)
これまでの課題図書
- 2020年度: 『専門知を再考する』Hコリンズ・Rエヴァンズ(名大出版会2007=2020)および原著
- 2019年度: ”The Handbook of Science and Technology Studies 4th edition” Felt et al., ed. (MIT press 2016)
- 2018年度: 『ペンタゴンの頭脳』Aジェイコブセン(大田出版2015=2017)および原著
”A Web of Prevention: Biological Weapons, Life Sciences and the Governance of Research” Rappert & McLeish ed. (Routledge 2014) - 2017年度: ”Innovation, Dual Use, and Security: Managing the Risks of Emerging Biological and Chemical Technologies”(MIT press 2012)
- 2016年度: 関心のある科学技術コミュニケーション・STSの英文論文を選び、発表