eAPRINからピックアップするデュアルユース教材

研究不正や研究資金の適正な使用など、学生も教員も毎年学習することが義務付けられています。いつごろからか、公正研究推進協会(APRIN)が提供するeラーニング教材での受講となりました。

アカウントがないと入れませんが、左側メニューの「教材一覧」にいくと多数の教材がリストアップされています。その中にはデュアルユースに関する内容にふれているものもあります。私のような研究分野だと安全保障輸出管理とかは受講必須項目じゃないのですが、某国研では必須とか。

さておき、いくつかピックアップするとデュアルユース教材ができる・・・かも、ということで選んでみました。

  • その他
    • デュアルユース:研究がもたらす影響の多様性
      • キーワード: ジュネーヴ議定書、生物兵器禁止条約、フィンクレポート、デュアルユースのジレンマ、炭疽菌郵送テロ、H5N1高病原性鳥インフルエンザ論文、NSABB、マウスポックス研究、ポリオウイルス人工合成、スペイン風邪ウイルス再構成、ボツリヌス毒素混入実験、馬痘ウイルス人工合成、合成生物学、ゲノム編集、GOF (Gain of Function)実験、シンガポール宣言、バイオセーフティ、バイオセキュリティ
  • 研究の安全性
    • バイオテロリズム
      • キーワード: 生物兵器・バイオテロの歴史(14世紀ペスト、18世紀天然痘汚染毛布、日本軍731部隊、ブルガリアの傘暗殺(リシン)、ソ連軍によるアフガンでのT-2散布、スヴェルドルフスクの炭疽菌漏洩、シルバーマンによるサルモネラ菌テロ、オウム真理教による炭疽菌テロ、炭疽菌郵送テロ)、対テロ効果的死刑法、愛国者法、感染症法(一種~四種病原体)、家畜伝染病予防法、炭疽菌、ペスト菌、野兎病菌、ブルセラ属菌、天然痘ウイルス、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン毒素、危険物質(HAZMAT)レベルA~D、Hot/warm/coldゾーン、懸念のあるデュアル・ユース・リサーチ(DURC)、『科学・技術のデュアルユース問題に関する検討報告』
    • バイオセキュリティ
      • キーワード: ハイリスク病原体、セレクトエージェント、保管病原体一覧表(台帳)、脅威・信頼性評価、アクセス管理、BWC(生物兵器禁止条約)
    • バイオセーフティ
      • キーワード: バイオハザード、4つのリスクグループ、バイオセーフティーレベル(BSL)、リスク評価、リスク管理
  • 安全保障貿易管理(輸出管理)
    • 大学等における安全保障輸出管理
      • キーワード: 外国為替及び外国貿易法、技術の提供、貨物の輸出、大量破壊兵器(核・化学・生物兵器、ミサイル)、国際輸出管理レジーム(原子力供給国グループ、ミサイル技術管理レジーム、オーストラリアグループ、ワッセナーアレンジメント)、リスト規制、キャッチオール規制、外国ユーザーリスト、経済産業省、取引審査、外国人留学生・研究者・教職員、海外出張、国際共同研究
  • 人を対象とした研究:基盤編
    • 生命倫理学の歴史と原則、そしてルール作りへ
      • キーワード: 利益、リスク、ジェンナー・パスツールのワクチン実験、華岡青洲の麻酔手術、ニュルンベルク綱領、ヘルシンキ宣言、ビーチャー論文、タスキギー梅毒実験、ベルモントレポート(3原則)
  • 技術者向けの倫理
    • 技術と社会 ~技術の世界へ歩みを始める皆さんへ~
      • 専門職業家、環境問題、雇用問題、都市問題、軍事技術(原子力発電、ジェット航空機、ロケット、無線通信、レーダー、電子レンジ、ペニシリン)、デジタル通信技術、LSI(大規模集積回路)、科学と技術、技術倫理、アイヒマン実験、セキュリティ技術、再生可能エネルギー技術、自然災害対策技術、環境技術、有機資源循環技術、人工知能技術、ビッグデータ分析技術、遺伝子技術
    • 技術倫理 ~技術者の観点から~
      • 責任Responsibility、説明責任Accountability、追跡Traceability、法令遵守Compliance、5つの教育目標、線引き問題、相反問題、二分法Dichotomy、決疑法Casuistry、チャレンジャー爆発事故、利益相反、責務相反、ロスによる6つの義務、知的財産権(特許、著作権)、企業秘密、組織的責任、集団思考、内部告発、公益通報、技術移転、製造物責任法、不法行為制度、過失責任主義、欠陥責任主義、市民・ステークホルダーとの対話、記録と保存

この他にも、例えば「研究の安全性」や「技術者向けの倫理」にはデュアルユースにも該当する内容を含む教材がありますが、広げすぎるときりがないのでとりあえず上記7点にとどめました。

ピックアップしてみると、科学と政治・安全保障の関わり、歴史的な経緯、社会的責任に関するところはまだないということなのかな・・・。すこしずつかすっている教材はありますが。この領域横断性がデュアルユース。