真夏のクリスマスレクチャー

9月4日は真夏とは言わないでしょうが、相変わらず暑い中、クリスマスレクチャーに行ってきました。
なぜ真夏にクリスマス?

クリスマスレクチャーの本家本元は、英国の王立協会が1825年からクリスマス時期に子ども向けに行っている科学講義です。
これを日本でも開催しているので真夏でも「クリスマス」レクチャーなのです。
ちなみに正式名称は「英国科学実験講座,クリスマス・レクチャー」。
毎年この時期に実施され、今回は21回目。読売新聞とブリティッシュカウンシルが主催しています。

開催場所は国際展示場駅すぐ傍のパナソニックセンター東京

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テーマは「植物3億年の戦い(”The 300 Million Years War” between plants and animals)」で、全4回の連続講義です。
講師はサセックス大のSue Hartley教授。
私は4日の11時~12時「植物の防御戦略(Plant wars)」と13時半~14時半「動物たちの知恵(The animals strike back)」の2回に参加してきました。
どうでもよいですがタイトルは「スターウォーズ(Star wars)」「帝国の逆襲(The empires strike back)」のパロディでしょうか?

細かい内容は割愛しますが、5分おき位に模型などをつかったデモを行ったり、ボランティアとして会場の子どもをステージにあげたり、着ぐるみのイモムシが出てきたり、本物のヤギが出てきたりと盛りだくさんでした。
オリジナルタイトルどおり、確かにレクチャーなのですが、聞きっぱなしにさせない作りこみがすごい。

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私は大学学部生のころ、実は植物は草食動物にとって必ずしも利用しやすい食べ物ではなく、草食動物にとって世界は食べ物に満ち溢れた世界ではない、ということを知り、またひとつ世界が開けた気がしました。
子どもの頃にこのような非常にハイレベルで面白い話に出会えるなんてうらやましい限りです。

ちなみに講義の様子の撮影はご遠慮下さい、だったのでご遠慮してきました。 動画は例年サイエンスチャンネルにアップされるので、もう少しまてば今年の講義も見られるでしょう。
英国の本場ものの講義動画もウェブに掲載されていますが、なぜか見られません。

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話は大分変わりますが、垂れ幕にあるように日本モンサントも協賛しており、講義のパンフレットと一緒に「遺伝子組み換え作物まるわかり資料集」が配布されていました。

遺伝子組み換え作物世界シェアNo1で有名なモンサント社は、各国で様々な反対運動にあっています。
私は昨年度サンディエゴで開催されたAAAS年次大会に参加してきましたが、モンサントのブース出展に反対した会場外での小規模なデモを目撃しました。

ということもあり、モンサント(日本モンサント)は積極的に社会貢献活動も行っているようです。 wikipediaによると、本社のあるセントルイスのミズーリ植物園に、ハーバリウム(植物標本保存施設)建設のための寄付をしたとあります。
ミズーリ植物園のサイトを確認すると確かにThe Monsanto Centerという双子葉植物のハーバリウムがあります。
今回のクリスマスレクチャーも植物ネタなので、モンサントの守備範囲内なのでしょう。

9月7日には東大の弥生講堂で「食と科学―リスクコミュニケーションのありかた」というHartley教授も講演する講演会が開かれるそうで、今回のレクチャーで宣伝されていました。

クリスマスレクチャーの最終講義のタイトルは「危険をおいしさへ(Danger to Delicious)」で、人間が品種改良によって作物を作り出してきた事などについてお話があるようです。今回のクリスマスレクチャーで興味をもった保護者の方が、東大での講義も参加するとよいですね。

子どもは科学のおもしろさ。
大人はリスク。