社会言語学における伝達/運用能力研究

「伝達/運用能力を考える」というタイトルで、社会言語学的に伝達/運用能力(コミュニケーション能力)をどう考え、どう研究するのか、社会言語学分野の第一人者の方々が集まり、セミナーを開くというので、S條研メンバー3人で愛知大学へ行きました。

ボスのS條先生は社会言語学、研究員のS木さんは社会学、私は元生物学という超凸凹トリオです。

まず豊橋駅まで新幹線。さらに新豊橋駅から豊橋鉄道渥美線に乗り換え。
乗った車両は「菜の花まつり」をPRするための「なのはな号」でした。車内も菜の花一色。

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鉄っちゃんじゃないのでよくわかりませんが、昔東急目蒲線で走っていた電車のような気がします。
ちなみにお断りしておきますが私は鉄っちゃんではありません。なぜかよく間違えられますが。

さておき、小学生の時乗っていた車両で単線の道を行くと、なんとも懐かしい気持ちになりました。

3駅で愛知大学前駅。駅降りてすぐに愛知大学の校門です。

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古い建物もあり、気になって大学の歴史を携帯で調べると、ルーツは1901年上海に設立された東亜同文書院大学とのことでした。

一方会場は真新しいガラス張りのきれいな建物です。

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さて本題。
言語学で使われるCommunicative competence(コミュニケーション能力、運用/伝達能力)とは、チョムスキーが定義した文法的能力とその運用能力としての言語能力だけではなく、「適切な」振る舞いを含めた能力としてハイムズが定義した概念とのこと。

これを確認した後、2日間にわたり15名の方々が様々なフィールドと手法で得た、この運用/伝達能力に関する知見を発表しました。

某政党の代表選での演説の分析、テレビ討論番組における編集がもたらす効果、妊婦の超音波診断時の医者・患者(患部)・モニター間の視点移動、ボクシングの練習、ロッククライミングにおける空間語彙、裁判員と裁判官の発話量分析などなど実に多様です。

今回このセミナーに参加して、やはり理論がまずあり、そのために押さえておくべき話がざっくりわかったことは一つの大きな収穫でした。

もう一つの収穫は、社会言語学はかなり難しい学問である、ということがあらためてわかったことです。
客観的かつ妥当な方法に基づき、分析可能な対象から結果を得て、妥当な結論を導き出すには、かなり綿密に考えられた研究を行う必要があります。

今回の発表でも、興味深く、かつ分析可能な現象を目ざとく見つけて研究している例があり、ほーと思う反面、弩素人ながら????というものもあったりなかったりあったりなかったり・・・

でも逆に学問全体としては、その格闘感がエキサイティングでもありますね。