赤い映画: ソルジャー

ソルジャー LBX-132 [DVD] ソルジャー LBX-132 [DVD]
(2012/05/01)
アレクセイ・チャドフ、アンドレイ・チャドフ 他

商品詳細を見る

2011年ロシア作品
主演はアレクセイ・チャドフ。
彼はレッド・スナイパー(2004)(本ブログで紹介済み)やチェチェンウォー(2002)・アフガン(2005)でも主演しているロシアアクション映画/戦争映画の売れっ子。
前3作にくらべると大分大人っぽくなっております。

邦題はひねりも何にもない「ソルジャー」ですが、原題もこれまたすごい。
原題は”SLOVE: Прямо в сердце”(愛:ハートに一直線)←わたくし別にふざけておりません。ほぼ直訳。
しかしこの原題は内容をよく表しているとも言えます。

【あらすじ】
グリゴーリー・セルゲイ・アレクセイの三兄弟が所属する内務省軍特殊部隊は麻薬組織と戦闘するも長兄グリゴーリーは戦死し、命令を無視したセルゲイは除隊処分となる。
3年後、民警の警部となったセルゲイの元を未だ内務省軍にいるアレクセイが休暇で訪れる。セルゲイは腐敗する内務省の中にあって、過激な捜査を続けていた。そしてアレクセイは内務省高官の圧力から暗殺任務を負うことになり、マフィアを次々と狙撃していく。
そんな彼は作戦の逃走中、カリーナと出会う。Slove(愛)というコードネームを与えられたアレクセイとカリーナの愛の行方は。そしてアレクセイの「任務」の裏とは。

この映画の見どころは、主演のアレクセイ・チャドフ演じるアレクセイ・ローニンと、その実兄アンドレイ・チャドフが演じる兄セルゲイ・ローニンでしょうか。

このセルゲイが怪傑ゾロにあこがれるかなりのバイオレンス刑事(西欧風バイオレンス)。
一方のアレクセイは子供のころから一人じっと狙撃ゴッコをするなど、陽の兄と陰の弟、という対比があってキャラクターとしても分かりやすく、とにかく顔が似ていて面白い。
ちなみにローニン兄弟には末にスヴェトラーナというゲーマーがいます。

ですが、この妹にせよ兄のセルゲイにせよ、中盤ほとんど現れなくなるのが非常にもったいない。
特に兄セルゲイについては、暗殺者としらずに弟アレクセイと追う追われるの関係になったり、葛藤や対立なんかがあったりすると盛り上がると思うのですが、ほとんど掘り下げられずに終了。

で、一方掘り下げられるのが、アレクセイとおつきあいすることになるカリーナ。
アレクセイは微妙に朝丘雪路似のカリーナのことばかり考えちゃったりするもんだから、マフィアをどんどん射殺したい真面目な上司は困っちゃうわけであります。
そんな上司の気持ち、部下知らず。任務中も朝丘雪路とのなんだかんだを思い出しちゃったりして、その度に「プワァ~ップワァワワワ~♪」と派手にサックスのBGMが流れるもんだから、朝丘雪路との縦深攻撃で見ているこちらは噴き出す始末。

正にカリーナ愛一直線なのであります。

とまあそんな作品なのですが、一応アクション映画なのでもう一方の主役、心臓を射抜く火器(ロシア製のみ、ただしAK除く)についてもメモ。
・ドラグノフ: 内務省軍および暗殺任務初期で使用
SV-98?: チークピースを備えたボルトアクションライフルとしてちらっと登場。マズルが違うのでSV-98ではない可能性も
VSS?: マウントレールの形からVSSか?と思うもののこちらもはっきり写らず不明。
OTs-14 or A-91: これはその特徴的な形から確定
PP-91 or PP-9: 敵のアジトに突入する時に使用。ついでに内務省特殊部隊仕様らしきヘルメットも使用
分からないのが多いのですが、要するに本作では暗殺者の身体である銃器をあまり描いていないのです。これはマイナスポイント。

逆に興味深い点をあげるとすれば「ドイツ」とのからみでしょうか。
暗殺を命じる内務省高官のサヴェーリとルドヴィクは日本人がもつステレオタイプなロシア的ロシア人ではなく、ロシアのエリートにしばしばみられるドイツ的ロシア人です。実際サヴェーリはドイツ語を堪能にあやつり、明言しませんがドイツと何らかの関係があることがほのめかされます。
また、カリーナもドイツとのハーフであり、アレクセイ・サヴェーリとともに、ロシア人とドイツ人の違いについて語ったりします。
このあたり、ロシア人のドイツ観をちょっと垣間見ることができる部分かもしれません。

あと、ストーリーを理解する上で必要な豆知識を一つ。
アレクセイは国内の治安維持・軍事行動を担う内務省軍(国内軍)に所属し、セルゲイは民警(警察)に勤めているわけですが、この二つの組織は両方ともロシア内務省に属しています。だからこそ、サヴェーリらは内務省軍所属のアレクセイにも民警所属のセルゲイに対しても権力を行使することができるわけです(実際にそんなポジションがあるかどうかは別ですが)

いまいち中途半端な感が否めない本作ですが、物語のラストは、続編へと続くようなシーンで終わります。
次回作はアレクセイとセルゲイの熱いストーリーを期待したい。
朝丘雪路はいらん。