ニューヨーク大学に行っている後輩が一時帰国した時にお土産をもらいました。
“Earthworm Life Cycle Stages”
ミミズモデルです。細かい点はいろいろありますが、なかなかよくできています。
何より生活環がひとそろいになっているのがよい。
裏面には”There are over 5500 species of earthworms, some growing to almost 10 feet long!”
という解説。
10フィートは約3メートルで、これはオーストラリアにすむメガスコリデスMegascolides australisのことでしょう。
さて表面にもどってステージごとにミミズモデルを見てみましょう。
stage1: 卵と孵化したミミズ
4つの卵殻(コクーン)があり、その一つから稚ミミズがでています。
色が生体ミミズより薄いのは〇ですが、コクーンが今一歩。
ミミズのコクーンの中には複数の卵が入っているのですが、そこがわからない(参考:ヒメミミズのコクーン写真)。
コクーンが半透明のパーツになっているとかカットモデルになっていれば◎ですが、そこまで求めるのは酷か。
stage2: 成体
頭をもたげている躍動感あふれるポーズが〇。
種は分りません。アメリカでもコンポストなどでポピュラーなシマミミズ (tiger worm) Eisenia foetidaであれば縞模様があるべきですが、そこはコストで再現できなかっただけかもしれません。
もう一方のよくいるミミズ (Night Crawler) Lumbricus terrestrisと考えるべきでしょうか。
stage3: 交接するミミズ
ミミズは雌雄同体ですが、二匹が交接して互いが精子を相手に受け渡し、二匹ともが卵を産みます。
このモデルで一番残念なのはこのステージ。
ミミズのいわゆる襟巻の部分「環帯」に卵巣があり、その周辺に精子をつくる精巣、精子を体外に出す雄性孔、相手から精子を受け取る受精嚢もあります。
なので二匹のミミズはこの襟巻周辺で互い違いになるようにくっつきあわなければならないのですが、このモデルだとあらぬ場所どうしでくっついています。これでは精子が渡せない。
正しくは↓のようなポジショニング。
stage4: 産卵するミミズ
あまり知られていないミミズの貴重な産卵シーン。
ミミズは環帯から分泌される液でコクーンをつくり、その中に卵を産みます。
そして襟巻を頭から脱ぐようにコクーンを脱いでいき、すぽんと脱げるときにコクーンの前後が閉じられます。
このモデルはコクーンを脱ぎかけている状態を再現。コクーン4つ付。
後輩によると、他にもlife cycle stages シリーズがあり、意外とあちらの親は熱心にこういった科学玩具を子供に買い与えるとのこと。
ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館には、巨大なミミズのモデルもあるそうです。
しかし、そこで熱心に写真を撮っていると他の来館者に不信な目で見られるとか。
(彼も同じ研究室時代はミミズの再生を研究。今はマウスの毛や指の再生を研究)。
日本のミミズ模型って教材用のやたら高価なものしかないのではないか?
私がこれまで持っていたのも仮面ライダーのミミズ男のフィギュアぐらい・・・
ということでとてもうれしいお土産でした。