日本における貴重なミミズモデル、そして日本におけるキャラクターとしてのミミズの有名人としては、やはり仮面ライダーのミミズ男は外せないでしょう。
「ここをショッカーの秘密基地と知って来たのか!」
ミミズの体節っぽい縞が体中にあるのが特徴。
「かかれーっ!」
左腕全体がミミズの頭部の形になっていますが、面白いことに側方に頭部が異形成されたような形になっています(図E参照)。素晴らしい造形。
「くらえ、殺人リング!!」
左脇腹からは小さなミミズがはみ出したような姿。
頭頂部に巻き付いているミミズ状のものは「殺人リング」
これを相手に投げつけ、首を絞めるのが得意技で、ライダーも苦しめたなかなか強力な武器。
「どうだ!思い知ったか!!」
じっくり見ているとだんだんかっこよく見えてきた・・・
ミミズライダーでもいける!
・・・いやだめか・・・
撮影に用いたのはガチャガチャのミミズ男フィギュア。他に海洋堂からもフィギュアが出ているようです。
本編でミミズ男は第59話「底なし沼の怪人 ミミズ男!」に登場します。
ミミズ男を指揮する地獄大使の言葉によると、ミミズ男はビキニ諸島の水爆実験でただひとつ生き延びた生物であるシマミミズを改造した怪人だとか。
シマミミズと限定しているところが微妙に細かい。
さておき、出自を考えるとゴジラやギエロン星獣とも通じる、少し悲しいものを感じます。
といってもビキニはサンゴでできた孤島で、固有のミミズはいないのでシマミミズは外来種。
ちなみに彼がライダーと戦ったのは1971年(劇中の時代=放映時の時代として)。ビキニ環礁での水爆実験は1946年から1958年まで行われたので、最も年を取っている場合でも25歳。若い。
そんな彼が従事した作戦は、コバルト60の10倍の威力を持つコバルト120を用いたコバルト爆弾による「放射能作戦」(もちろんコバルト120なんて放射性同位体はない)。
核の生き残りたる生き物を改造・洗脳し、彼の故郷に降りかかったのと同じ災厄を彼自身にふりまかせるとは、なんたる悪趣味。
閑話休題。
地獄大使が「ビキニで生き残ったお前にしかできない作戦」ということを言っているので、おそらく放射線耐性があると思われます。
しかし、もっと適した怪人はいないものか?
殺人リングでライダーを苦しめたことから、十分に強いと思われるのですが、もっと放射線耐性があり、かつ力強い生物にしてもよさそうなものです。
放射線耐性でいえば、休眠状態での耐性ではあるがクマムシやネムリユスリカや、あるいは最も耐性が強い放射線耐性菌とか。
・・・どれも強そうじゃないか・・・
ということを考えていたら、ショッカーはどのような生物種を好んで改造に使っていたのか気になりました。
数多ある生物種からランダムに選んで改造しているのか、それとも何らかの傾向があるのか?
そこでショッカーの怪人についての情報をwikipediaから拾い、生物綱ごとに集計してみました(生物の分類についてはこちらを参照)。
なお、複数の生物を合成してつくったゲルショッカーの怪人については今回の集計からは除外しています。
同じ生物門に属する綱は同系色で示しています。
※
仮面ライダー1号、2号は1体としてカウント
爬虫綱には絶滅種プテラノドン、架空種ピラザウルスを含む
昆虫綱には架空種ギリーラを含む
被子植物には架空種(熱帯の花)を含む
なしには狼男、雪男、ミイラ、半魚人、キメラ種ゲバコンドル、架空古代種ユニコルンを含む
非生物である火山怪人ゴースターは集計から除外
下は生物門ごとに怪人数をまとめた表。
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動物界
脊椎動物門: 29
節足動物門: 25←仮面ライダーはココ
棘皮動物門: 2
環形動物門: 2←ミミズ男はココ
軟体動物門: 2
刺胞動物門: 2
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植物界
被子植物門: 5
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菌界
?門: 2
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なし: 7
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計 78
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結果を見ると、脊椎動物と節足動物でそれぞれ約3割が占められ、残り約3割がその他の動物・植物・菌などで占められていました。
適当なデータがパッと見つかりませんでしたが、既知の生物種(人間が分類した種。あくまで)の割合では、6割近くを節足動物が占めています。一方、脊椎動物は数%でしかありません。
このことから、ショッカーは脊椎動物を好んで怪人に利用していたことがわかります。
ライダーは空を飛べないので、鳥怪人を活用した作戦も考えられそうですが、実際は2.6%(2体)でしかありませんでした。
また、同じ科(あるいは目)レベルの怪人は、ウミヘビ(海蛇男)、ガラガラヘビ(ガラガランダ)、コブラ(コブラ男)、サソリ(さそり男、毒サソリ男)の5体を除いて存在しないことから、門や綱に偏りがあるものの、特定の科(目)に偏らないように、いろいろな生物を改造しているようにも思えます。
さて、ミミズ男は環形動物門に属します。他に環形動物門に属する怪人としては、ヒルゲリラがいます。
環形動物門はあわせて2体(2.6%)ですが、実際の生物種の割合から考えると結構健闘しているとも言えます。
実際、ゲルショッカーの合成怪人ヒルカメレオン、仮面ライダーXの敵組織GODのヒルドラキュラと、ヒルは怪人の元としてその後も登場します。
劇中で示される特徴を見ると、ヒルの血を吸う能力が悪の組織に注目されたようです。
一方、ミミズは特にこれといった「凶悪」な能力がなく、怪人には使いにくかったのかもしれません。
その意味で、ミミズ男は非常に稀なヒールミミズキャラクターとして、独自の地位を確保していると言えるでしょう。
その能力が水爆によってもたらされたというのは何とも・・・