個人の移動手段としてパーソナルモビリティと呼ばれる乗り物が提案されています。
従来の乗り物が、多く、早く、遠くを目指していたのに対し、個人の近距離の足として用いることを目的としており、特に高齢者の移動手段として考えられているものもあるのが特徴です。
我々の研究で御協力いただいているヤマハモーターエンジニアリングのらいふ・ウォーカーも、パーソナルモビリティとして位置付けることができるでしょう。
他のパーソナルモビリティにはどのようなものがあるのか、集めてみました。
シニアカー
高齢者用の電動カート。
大手ではスズキ、ホンダが発売。
ちなみに「セニアカー」はスズキの登録商標
早稲田大学藤江研 トレッドウォーク
・開発: 2005年~(研究中)
・全長×全幅×全高: 1,520×760×1,120 mm
・速度: 最高6km/h 3km/hで歩行すると、6km/hで走行することができる。
車椅子のように低い視点ではなく、自然な姿勢で移動できる点が心理的にも心地よいとされている。
同 トレッドウォーク2
トレッドウォークはらいふウォーカーとは立位と座位という点で大きく異なるので、当然対象者も異なってくるでしょう。
しかし、完全な電動走行ではなく電動アシストであり、残された身体能力を有効に使い、維持させるという点では共通のコンセプトを持っていると思われます。
狭義のパーソナルモビリティとは外れるかもしれませんが、高齢者のモビリティ・身体能力を補助する機械という観点では以下のようなものもあります。
村田製作所 電動歩行アシストカー
シルバーカー(手押し車)のハイテク版
受動歩行ロボット
足に装着し要介護者の歩行支援器具への発展も(1:23から)
Cyberdine HAL
有名な強化外骨格。 2008年10月10日からリース販売
ホンダ 体重支持型歩行アシスト
自転車のサドルを靴に取り付けたような外観で、脚の間にフィットする作りになっている。これを装着することで、歩く、しゃがむ、立つなどの動作が、股関節や膝関節、足首関節に余計な負担をかけることなく行うことができる。
埼玉県狭山市にある埼玉製作所の車両組立ラインで2008年11月から検証
以下は特に高齢者向けというわけではありませんが、従来にはない機構と目的をもつパーソナルモビリティです。
ホンダ U3-X
・発表: 2009年9月(研究中)
・全長×全幅×全高: 315×160×650 mm
・重量: 10kg以下
・可動時間: 1時間 後述するセグウェイやトヨタのウィングレットと異なり、複数の小さな車輪をつなぎ合わせた車輪を一つだけもち、この車輪で前後・左右・斜めに移動することができる。方向・速度・停止の操作は体重移動で行う。
トヨタ ウィングレット
以下諸元はType S
・発表: 2008年8月(研究中)
・重量: 9.9kg
・速度: 最高6km/h
・可動時間: 5km (1時間) セグウェイ型のType Lの他、両手が自由に使えるType MとType Sがある。
トヨタ i-REAL
・発表: 2007年 2009-2010年中部国際空港で実証実験。
・全長×全幅×全高: 995×700×1,125 mm(最少) 1,510×700×1,430 mm(最大)
・速度: 歩行者モード6km/h 走行モード30km/h
・可動時間: 30km
フロント2輪、リア1輪。高速走行の場合、リアホイールは後方にスイングさせることで重心をさげ、車体を安定させる。
低速走行の場合はリアホイールが前方にスイングし、視点が歩行者とほぼ同じ高さになる。
パーソナルモビリティで重視されているのがコミュニケーション機能で、そのために歩行者と同じ速度、同じ視線であることが特徴です。
群馬大学次世代EV研究会 マイクロEV µ‐TT2
・発表: 2011年1月22日~2月13日に群馬桐生市貸出モニター実験
・速度: 最高55km/h
・航続距離: 30km 一般公道も走行可。
ZMP RoboCar MEV
・発売: 2009年
・全長×全幅×全高: 2,000×1,100×1,600 mm
・重量: 約335kg 自動走行が可能なロボットカー。実験のためのテストベッド車両
マスダールシティ PRT
自動走行する小型車両Personal Rapid Transit。当初計画では軌道上を全自動で走行し、マスダールシティ全域の交通を担うはずだったが、計画は縮小され、通常のEVが導入される予定。
※マスダールシティはUAEに建設されている環境エネルギー都市。さまざまな技術を用いて省エネ・循環・低炭素な都市設計を行っている。
トヨタ i-foot
・発表: 2005年(デモ機)
・全高: 2,360 mm ・重量: 200kg
・可搬重量: 60kg
・速度: 1.35km/h
ここまで来るとかなり未来的な乗り物になってきます。
パーソナルモビリティはその名の通り、個人的に使用するものですが、個人的に所有するには高価すぎるのが問題です。
また、自転車でさえ実際問題として都市の中で不適切な扱いをされている現状をみると、こういったパーソナルモビリティをどう使うかといった社会技術や制度についてかなり検討を必要とすることは間違いないでしょう。