心理学会@専修大学 二日目

心理学会二日目。
受付の後方には専修大学のマスコット、センディが鎮座していました。

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これはアレでしょうか。答えられないと食べられてしまうというアレにちなみ、単位落とすと食べるぞとかいう意味でしょうか。

さておき、会場に入ると「いらっしゃいませ」
会場をでると「いってらっしゃいませ」
とスタッフの方に声をかけていただいたのには驚きました。
うーむこれが私大のサービスクオリティか。

iPadが一日1000円(半日500円)で借りられたり、専用スケジュール管理/抄録閲覧アプリがあったりとなかなか充実しています。
実際アプリはかなり便利でした。

■午後の部ポスター:ネット研究
二日目午後はまずネット関係の研究をしているポスターを回りました。
興味深い発表はいくつもありましたが、ここでは一件だけご紹介。

震災後にツイッター上で伝播した流言と批判に対する評価―東日本大震災を事例とした地域差の検討」(田中優子ら)
ツイッターで流れた噂とその打消しツイートについて、ユーザーはどのように評価しているのか、それに地域差はあるのか?を調べた研究。研究の射程としては、ツイッターなどのミニブログのシステム・インターフェースの在り方も含まれているようです。

実験では実際にツイッターで流れた噂のツイートを見せた後、自分はそれを信じるか・他者はそれを信じるか等について質問紙に回答。
その後それを打ち消すツイートを見せて同様の質問紙に回答。

結論としては、
・他者は自分より噂にだまされやすい、と人は考える傾向がある
・噂ツイートより打消しツイートの方が正しいと評価する傾向がある
・沖縄より千葉の方が自己評価と他者評価のギャップが大きい(他人と自分の認識の差が大きいと考えている)

一点興味深かったのは、噂ツイートが危険性の喧伝・怠りに対する批判であり、打消しツイートが「落ち着け」的な呼びかけである、という点です。
これが「安全だ」「落ち着け」という噂ツイートと、「危険だ」「対策を」という打消しツイートだった場合、結果はどうなるのか?
前者はいわゆる正常性バイアスを支持する方向の打消しツィートですが、後者はいわゆる「御用」「エア御用」的噂に対しての打消しになります。
この点は、どのような立場の人がどのような語りで情報を流したのかとあわせて興味があるところです。

■夕方の部:自動車運転の社会性
日産自動車・産総研・大正大・玉川大・中京大というチームによる「認知社会心理学研究の応用的展開―社会行動としての自動車運転」
日産の呼びかけから始まった研究とのことで、内容もさることながら、プロジェクト形態としても心理学会の中では目立っているように思えました。

テーマは自動車運転の社会性。
上手な運転とは、他者への配慮ができた運転であるとの先行調査結果から、その配慮=社会性の構造を明らかにし、運転指導などに活かしていく、という研究。
運転時における社会性とは、不特定多数との一回限りの関係における社会性であり、危険を避けるため技術的・自動的な行動をとる傾向があると同時に、感情が出やすい行動でもある、という内容の説明がありました。

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機械が自らの身体の延長として機能することによって、社会性が変化するという点では、ネットにおいてもある程度共通の現象なのかも、と思ったり。

研究手法としては、質問紙調査による因子(他者配慮・自己指向性・イライラ運転)の抽出、実際の運転行動のモニタリングとその行動のカテゴライズ(情動的共感・認知的共感・ルール遵守・非共感行動)、両者の相関をみることによって社会性の尺度をつくろうというもの。

質疑で「ゆずり運転などが見られたとして、それが共感的行動なのか?ルールに基づく行動ではないのか?」という指摘がありました。
確かに、社会性といったものを他の要素と分離して捉えるのは困難でしょう。

しかし、技術が介在することによってその人の社会性が変化する(日常生活における社会性との差異が生じる)、そしてそれを自動車運転から明らかにしようというのは非常に面白い取り組みで勉強になりました。

初日のエントリと関連して、高齢者が、身体的な衰えと運転能力の自己肯定の強化にも関わらず、運転調整行動が増加するのは、この社会性によるのかもしれない、と連想しました。社会性は運転時だけではなく、その移動体の選択、つまり運転前にもその高齢者とそのコミュニティに発現するでしょう。

これらの研究は、私達が進めている高齢者向け電動アシスト自転車の研究においても一つの視点を与えてくれそうです。