赤い映画:ストームゲート

ストームゲート [DVD] ストームゲート [DVD]
(2010/06/02)
ミハイル・ポレチェンコフ

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原題“Грозовые ворота”(雷雨の門) 2006年ロシア作品

ジャケットのハインドに違和感を感じてよく見たらテイルローターが右側に!
左右反転して使っている…
そして大量のBMDが隊列を組んでいますが、こんなに数は出ません。

とはいえ、比較的内容に近いイメージのジャケットになっています。
タイトルもロシア語の直訳(しかしこの例に関わらずなぜ非英語圏の名称を英語に訳するんでしょうね…)。

【あらすじ】
家族との確執を抱えるコースチャと、田舎から出てきたコリャン。徴兵された彼らは訓練の末、チェチェン派兵に志願する。ドローニン上級中尉率いる第74狙撃大隊第5中隊は古い城塞の残る“雷雨の門”と呼ばれる峠を守備することになる。しかし大規模な敵武装勢力が峠を包囲しつつあった。彼らは無事故郷に帰ることができるのだろうか。

本作は第一次チェチェン紛争(1994-1996)を舞台にしており(ただしジャケットにそう書いてあるだけで作品内で語られているわけではない)、「839年10月7日の戦いで全滅」と記された竜騎兵連隊の碑と遺跡が残る峠に陣取ります。

ドローニン中隊は地上軍ですが、現地に詳しいGRUのワレーラ・エゴロフ少佐が加わり、さらに援軍としてホリチェク中尉の空挺軍部隊が控える、という混成部隊。全体を指揮するガルキン大佐も「ドローニンもやりづらいだろう」とつぶやきます。
さらに現地では、ワレーラとつながりのあるチェチェン人エージェントのシャーフが加わります。

主役は一人というわけではなく、ドローニン、コースチャ、コリャンの3人が中心的に描かれており、コースチャとドローニンについては回想シーンが時折はさみこまれています。
しかしどうもこれが少々分かりづらい…

ちょっと調べてみるとこの作品は良くあるロシアの4回シリーズのテレビ映画を再編集したもののようです。道理でオープニングタイトルの下に“1 серия”(1シリーズ)と表示されているわけです。
オリジナル版ではもう少し回想シーンなどが多く、各キャラクターが掘り下げられているのかもしれません。

とはいえ上記3名を差し置いて目立っているのはワレーラです。
演じるミハイル・ポレチェンコフは、本ブログでも紹介した「アフガン」(2005)でもデガラ軍曹を好演しており、今回も「俺は勲章には恐ろしく貪欲だぜ!」という名言を残しています。

同じく「アフガン」からは、大佐役のアンドレイ・クラスコがガルキン大佐役で出演。
今回も役立たずぶりを発揮するぼんやり大佐です。

そしてもう一人注目したいのはヴャチェスラフ・ラズヴェガエフ演じるチェチェン人のシャーフ。
実際に様々な背景と理由からチェチェン人でありながらロシア軍に協力した人々もおり、シャーフもそういった一人なのでしょう。超ベテランを思わせる風貌と相まって物語に少し厚みを与えています。

戦闘シーンにはそれなり迫力があり、逃亡する味方に乱射したり、損壊した遺体を描いたりする部分もあって、その点では「アフガン」よりある意味リアルな描き方はしていますが、やはり映像としてはあと一歩というところです。
敵が団子になって攻めてくるのはまだしも、味方も団子になって攻めたり、BMDを無茶に突撃させたりと、雑さも見えます(BMDを突撃させるのはリアルかもしれない)。

全員死亡で終了、といういつもの幕引きではなく、ファミリードラマ的(?)な回想シーンもあるため、全体的としてはトーンもそれほど重くありません。テレビ作品としては力が入っており、十分に見られる作品かと思います。

【登場兵器(一部)】—やたら詳しいサイトがあったので詳細は→infdb “storm gate”—-

BMD-1およびBMD-2
 字幕では「戦車だ!」となっていましたが、役者は「ベーエムデー!」と叫んでいました。6-7両が登場しており、疾走したり爆発したりと大活躍。本作はBMD映画といっても過言ではない。

Mil-24PハインドE(排気口ポッド付)
 2機登場。S-8ロケット弾ポットは片翼に1機ずつ装備なので若干迫力にかけるが、登場頻度は高い。携帯SAMで一機撃墜される。

Il-76
 訓練地(トムスク?)からチェチェン方面へ飛ぶときに登場。飛行シーンはなし。

ZRP-2チューシカ
 “チューシカ”は爆薬が詰められたワイヤーを飛ばして爆破することで、地雷原にルートを確保する導爆索。敵武装勢力が使用。映像作品での登場は珍しいのでは。
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