自然への介入はどこまで許されるのか【理学院集中講義(自然史科学特別講義IV)】

下記の要領で集中講義を実施します。

受講希望者は下記まで連絡をください(別途履修登録も必要です)。また、部分的な聴講も可です。

 

講義名:自然史科学特別講義IV(1・2)環境衛生倫理(1・2)

 「自然への介入はどこまで許されるのか」

人間は様々な感染症を克服するために、科学研究と公衆衛生に取り組んできた。その結果、日本住血吸虫の対策のためにミヤイリガイが根絶される等の事例もあった。このように、公衆衛生と環境保護・保全は相反する場合もある。

近年は、遺伝子ドライブを用いたマラリア根絶も検討されており、萌芽的先端科学技術の発展に伴って生じる倫理的・法的・社会的諸問題(ELSI)に対して科学者も認識を深める必要がある。

この集中講義では、日本住血吸虫病の他にも、公害、遺伝子組換え食品と人工肉、気候変動対策としての地球工学、そして遺伝子ドライブ等、環境衛生倫理上の諸問題について具体例を紹介する。そして、自然への介入はどこまで許されるか、という問いについて演習を通して考える。

 

講 師: 藤木 篤

神戸看護大学 看護学部 人間科学領域 人文科学分野・准教授。博士(学術)。技術者倫理と環境倫理学を中心に、広く応用倫理学に関する研究を行っている。近著に「根絶と脱絶滅 — 種の選別をめぐる倫理的問題」(西日本哲学年報26, 2018)。『理系のための科学技術者倫理』分担執筆第2章4・第3章3・第4章4・第5章4(丸善出版 2015)等

 

場 所: 理学部5号館5-302

 

日 時: 2019年8月28日(水)~30日(金)

8月28日(水)

 10:30 環境衛生倫理の射程(講義)

 13:00 環境問題としての公害(講義+演習)

 14:45 「遅ればせながらの教訓」: 予防原則(講義)

8月29日(木)

 10:30 公衆衛生と環境保全の相反①:日本住血吸虫病対策史を事例に(講義)

 13:00 ②:日本の風土病(講義+演習)

 14:45 ③:地方病から顧みられない熱帯病へ(講義+演習)

 16:30 環境保全と公衆衛生の関係について考える(演習)

8月30日(金)

 08:45 種の選別をめぐる倫理的問題(講義)

 10:30 根絶と脱絶滅①:不妊虫放飼法と遺伝子ドライブ(講義)

     ②:脱絶滅というアイデアとそれを支える技術(講義)

 13:00 ③:種の選別はそもそも問題なのだろうか?(演習)

 14:45 萌芽的先端科学技術と環境衛生倫理

    ①:遺伝子組み換え食品と人工肉(講義+演習)

    ②:気候変動対策としての地球工学(講義+演習)

 16:30「自然への介入はどこまで許されるか」(演習)

 

担当: 川本思心

理学研究院/理学院 自然史科学専攻 科学コミュニケーション講座 科学技術コミュニケーション研究室

ssn[a]sci.hokudai.ac.jp