エネルギーフォーラム@ハワイ3

今日はキーノートレクチャーはなく、しょっぱなから学生のセッションです。
そして私は座長。
8時から9時20分まで三つのセッションが平行して行われますが、そのうちのSocial Scienceセッションの担当です。
以下4つの発表がありました。

“The Shift in The Process of Science Popularization: A Study of Energy Issues”(Chen Yan、社会理工学研究科人間行動システム専攻)
翻訳理論にもとづき、学術論文→Scientific American→その日本語版/中国語版においてどのような変化があるのか、エネルギーに関する記事について分析。中国版はやや煽り気味の記事になる傾向。

“The Meaning and Inevitability of Setting a Ethics Code for Engineer and Educating Engineering Ethics by Private Enterprise”(Hirano Taku、イノベーションマネジメント研究科)
東電の倫理規定を例に、企業が独自に技術者倫理を策定する問題点を指摘。

“Switch in Science Teaching toward Originality in Gentaro Tanahashi”(Tatee Tochiro、社会理工学研究科・経営工学専攻)
科学教育史。明治期の理科教育者棚橋源太郎が、米国とドイツへの留学で教育理論を確立させたことを報告。

“Revising Agenda Setting After 2011 East Japan”(Namba Miho、イノベーションマネジメント研究科)
ジャーナリズム・メディア研究。震災直後、従来マスメディアがアジェンダ構築に失敗する一方、ソーシャルメディアや一部メディアによる新たなアジェンダ構築が起こりつつある。

なかなか多彩な分野からの発表でした。
人文社会系のなかでも質的な分析による研究発表だったので、ややとっつきにくかったかもしれませんが工学系の学生や先生方も来て質問されていました。

その後、あわただしく会場を片付け、評価シートを回収してテクニカルツアーに出発です。
10時に4台のバスに分乗してホテルを出発。
ワイキキから東進してオアフ島東岸を進みます。

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箱庭のようなビーチのあるハナウマ湾、岩場のブロウホールによりつつ、マカプウ岬にあるHawai‘i Undersea Research Laboratory のMacapuu Test Siteへ。
桟橋の先に大きなガレージがあります。

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中には潜水艇が! これは燃える!!
(以下、エネルギーGCOEの趣旨とは関係なく私の趣味でお送りします)

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潜航深度2000mクラスの深海探査艇Pisces IV (白)と Pisces V (黄)

Piscesはアメリカ海洋大気圏局(NOAA)が所有し、ハワイ海中研究所が運用。
研究所のメンバーはハワイ大学の方々から構成されています。
右下のエンブレムがハワイ大学のマーク。

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Pisces Vの耐圧殻。3名が乗船可能。

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Pisces Vのスラスター。両舷に一機ずつ装備され、2ノットで航行可能な推力を生む。

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天井には整備に使われると思われるウィンチ。

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後方から見たPisces IV
整備中のため金属製の外殻は取り外していると思われ、樹脂製?の覆いがむき出しになっています。
深海探査艇は小さいマニピュレーターや観察窓などのためか甲殻類的なイメージがありますが、独特の覆いが外骨格に見えるためさらに甲殻類的です。

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Pisces IV左舷にあるパネル。運用時はおそらくパネルで覆われると思われます。
バッテリーとコンプレッサーのスイッチでしょうか。

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船体表面を見るとボルトがマイナスです。
しんかい6500と比べると明らかにオールドタイプなのですが、これを見て結構古いのか?と思いました。

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後でWikipediaを見ると1971年建造でした(Pisces Vは1973年)
おまけに元はソ連に売却するために建造されたといういわくつきの船体!これは燃える!

さらに、ふと壁を見ると甲標的と伊400の写真が・・・
レクチャーではまったく触れてくれませんでしたが、たしか真珠湾攻撃に参加した甲標的と、戦後自沈処理された伊400をアメリカの探査艇が発見したというニュースがあったなと思い出しました。これがその潜水艇か!

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これも後で調べるとビンゴ。
Piscesのチームは2004年8月に甲標的2005年3月に伊401を発見しています。
地球環境、深海生物調査という意味でも大変興味深いのですが、ハワイという重要な地で非常に貴重なものを見ることができました。

興奮冷めやらぬテストサイトを後にしてさらにオアフ島東岸を北上。
カウロアランチというスポットで昼食。ジュラシックパークとかLOSTとかの撮影もしたところだとか。そびえる山はなかなかの奇景です。
地学は素人ですが、火山活動で海底から隆起した石灰岩が風雨で浸食された山でしょうか?

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地学関係詳しい人はさすがにエネルギーGCOEにはいないのが残念。

ときどき降る雨の中、散策後、14時半ごろカウロアランチを出発。
さらに北上し、オアフ島のほぼ北端にあるカハラでウィンドファームを遠望。
この時、結構風が吹いており、ヤシの木の枝が落下。危うくツアーメンバーに当たるところでした。あぶないあぶない。

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ハワイは火力発電でほぼ電力を賄っており、原油価格の影響を受けやすいとのことで、自然エネルギーの導入にもとりくんでいます。

岬を回って南下。そろそろ疲れてきました(私はツアコン状態で乗ったり下りたりのたび、ポスドクの方とバス会社方と人数確認)。
Doleのプランテーションでトイレ・お土産休憩。
ここにもあった顔はめ看板!

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ずいぶん土壌改良したんだろうな・・・

プランテーションを出発し、市街を抜けてようやく17時半ごろホテルに帰着。オアフ島東半分を一周したバスツアーでした。
しかしまだ今日は終わりません。さっとシャワーを浴びて会場設営をし、19時半からバンケットです。

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昼にテストサイトで解説をしていただいたハワイ大学のWiltshire先生が再登場し、調査データなどをもとに地球温暖化についてミニレクチャー。
その後バンド、ハワイアンダンスなどもあり大盛り上がりで中日が終わりました。